人は生きる限りひとりだよ、でも音楽がある

主に好きなミュージシャンの紹介です。

柴田聡子さんが京都に来るらしんですが

柴田聡子さんが6月に私の住んでいる京都に来るらしいんですが、キャッチアップが遅れて知った頃にはもうチケット売切れてました。

柴田聡子さん。少し毒のある歌詞とポップなメロディ、優しい歌声が魅力的なシンガーソングライターだ。

一番有名な曲は、「後悔」だろうか。

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イントロのベースラインからすでに踊りだしそうな感じ。コーラスもウキウキとした空気を盛り上げてくれている。歌詞の描く情景もなんだが色彩豊か。

しかしながら、この曲は紛れもない「後悔」の曲だ。この曲の主人公は、思い込み強めな、拗らせ女子。歌われている「君」との関係は、少しも近いものではなく、一方的に意識しているに過ぎないことが節々から伝わる。それでも、誰かへの恋を意識した時には、なんでもキラキラして見える。思い込みに過ぎないんだけど、きっとうまくいくと根拠なく思える。

そして、最後の歌詞の段階で、実際にはこの恋が殆どうまくいかないだろうことに見当がつく。

ああ、抱きしめていれば
抱きしめ合ってれば
自然と本気に
抱きしめてくれたら
抱きしめていれば
抱きしめ合ってれば
自然と本気に
抱きしめてくれたら

自分から抱きしめるほどの勇気というか、思い切りはこの主人公にはないのだ。「君」は、きっと他の誰かと付き合い、主人公にとってこの浮かれていた時間は、後悔になる。その毒が、ポップな曲調に乗せられている。

初期の柴田聡子さんの曲は、特に毒が強かった思う。私が一番好きな曲は、「カープファンの子」だ。

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2012年頃、カープ女子という言葉が流行していた。野球好きの男どもに気いられるために、それまでたいして野球に興味のなかった女性もカープファンを自称しだしていた(偏見)。

そして、そんなにわかカープファンになるような女性は、流行りにはなんでも乗っかるので、何の楽器もできないくせに、バンドを組んだりしてみるのだ。もちろん、楽器演奏者は知り合いの男が集めてくれ、ちやほやされながらたいして歌もうまくないのにボーカルを務めたりするのだ(偏見)。

そんな「うまくやってる」「かわいい」女性たちに対する毒が直球で歌詞になっている。彼らへのネガティブな感情を、「もっともっとひどいこと考えておかなくちゃ」とお茶目に表現している。

最近の曲では、少し毒の角が取れて丸くなっている。

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雑感」は、バンド演奏のバージョンもあり、そちらも素敵だ。アコースティック版では、柴田聡子さんの優しい声が染みてくるし、シンプルにギターがうまいことがよくわかる。

曲名の通り、とりとめのない雑感を並べたような歌詞になっている。なのだけれど、関連しないはずの言葉の一つ一つが、はっきりと存在感を放っている。これぞ詩人といった感じだ。

一番伝えたいことは、最後の一節なのだろう。

行けるようになったから行きたいとこに来てみただけです
来てみただけです
来てみただけです

特に強いメッセージを込めたつもりもなく、ただの感想みたいなものなのだろうけど、聴き手の肩の力をすっと抜かせてくれるような、優しい歌詞だと思う。

そんな柴田聡子さんは、新潟発のアイドル、RYUTistの「公式お姉ちゃん」も務めているらしく、彼女たちに楽曲も提供しているのだが、これがまた素晴らしい。

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ポップな曲調がアイドルソングにピッタリである。音の語尾を上げるようなメロディとコーラスで盛り上げ、サビにつなげる構成がうまい。途中のサビと異なるメロディの最後の大サビでで盛り上げた後、「ヘイ!」という掛け声で締めるところも存分にかわいらしい。歌詞も柴田聡子さんらしい、情景を丁寧に描写し、最後に素敵な結末があるような、ストーリー性のある歌詞になっている。

この「ナイスポーズ」以外にも、「オーロラ」という曲を柴田聡子さんがRYUTistに書いており、それもいいので気になった方は聴いてみてほしい。

柴田聡子さん、今回はチケット取れなかったので、また今度京都、もしくは大阪あたりに来てください。いや東京にも行きますけれども。よしなに。

 

(追記:RYUTistの他の曲の作曲者も、なんだか素敵なメンツなので、ぜひ彼女達にもハマってみてください。)